リクルート 先輩の横顔

笠原 貴義(2012年入社)「納棺師になって」
先輩の横顔1
 初めて納棺師という職業を知ったのは、叔母が亡くなった時でした。
 叔母は腹水でお腹がパンパン、布団が掛かっているのにお腹のふくらみがわかる程でした。
しかも面会した時は痩せていて、誰?と思うほどでした。それが、納棺が終わった時には、お腹のふくらみがなくなり、生前の元気な時の顔に。納棺師という仕事に興味が湧き、色々調べましたが、滋賀県では納棺師という職業は見つかりませんでした。それから10年程が経ち、忘れていた頃に納棺師募集という求人を目にしました。凄く悩みましたが、面接だけでも受けてみようと思い、応募したのが入社の動機でした。

 入社した時は、先輩方に所作・言葉遣い・表情など色々と教えて頂きました。私は、高校を卒業してからソワニエに入社するまでは製造業の仕事をしていました。言い方が悪いかもしれませんが、所作・表情なんて無縁の仕事です。ソワニエに入社してからは何もかもが新鮮で、大変な仕事だと改めて感じました。
先輩の横顔1
 初めて先輩方に付いて施行に伺った時は、頭が真っ白になり正直何も覚えていません。でもご遺族から、「キレイにしてくれてありがとう。」と言っていただき、もっと頑張ってご遺族と故人様の為に何かできる事は? そんな気持ちになった事を鮮明に覚えています。よく着ていらっしゃった洋服や着物に着替えられた故人様をご覧になり、「寝ているようにしか見えない」、「起きて」とお身体に触れられるご遺族から「ありがとう」のお言葉をいただけると、納棺師をやっていて良かったと思いますし、やりがいを感じます。

 今年で入社10年目になり心に残っている施行はたくさんありますが、何もして差し上げる事ができなかった施行が心に残っています。警察署に伺いましたが、お棺に納める事しかできない状態で、ご遺族は故人様のお顔を見る事もできませんでした。それでも「ありがとう」と言葉をいただいた時、私は悔しさでいっぱいになりました。
ご遺族から「ありがとう」の言葉をいただき、嬉しさからもっと頑張ろうという気持ちになる事はたくさんありますが、何もできない悔しさ、なによりご遺族が
故人様のお顔を見る事ができなかった事が辛く、今でも思い出し、もっと頑張らなくてはとの気持ちになります。
色々な施行があります。和やかな雰囲気での施行もありますが、悲しみの深い施行もあります。私は、ご遺族と故人様の為に何ができるか?この気持ちを忘れずに、これからも仕事に邁進していきます。

納棺師という仕事をイメージが出来ない方がほとんどだと思います。私も入社する前と入社直後は不安しかありませんでした。こんな私でも納棺の仕事を通じて変わる事ができ、本当にこの仕事を選んでよかったと思っています。少しでも仕事内容に興味を持たれたら、まずは問い合わせや体験などの行動を起こしてみてはいかがでしょうか?
先輩の横顔1
尾石 千佳(2018年入社)「納棺師として」
先輩の横顔2
 初めて触れた故人は祖母でした。
 当時中学生だった私は亡くなった人に触れていいものかわからなかったために躊躇していたのですが、伯母が触れてごらんとすすめてくれました。初めてのことだったので、温もりの無くなった祖母の肌に大変衝撃を受け、号泣してしまいました。冷たい頬の感触を今でも忘れられません。そしてその時の美しい祖母の顔を今でも忘れません。

 私の生まれ育った町は大きくはなく、葬儀社は数件ありますが納棺師とは馴染みの薄いところです。私が納棺師という職業を知ることができたのも映画「おくりびと」があったからです。
 ご家族にとって大切な方との尊い最期の時を共に過ごさせていただけるなんて、また旅支度のお手伝いができるなんて、何て素晴らしいお仕事だろうと感銘を受けました。求職中にこの仕事と出会えたことをとても幸運に思えました。

先輩の横顔2
 まだ経験が浅かった頃、満足のいく施行が出来ず自分の力量不足に歯痒さを覚えたり、故人様やご遺族に対しとても申し訳なく思うことがありました。施行の度に当時の祖母の顔を思い出し、あの時のように綺麗で穏やかな表情をご遺族の皆様にも見ていただきたいと考えています。
 私にとって、祖母を亡くした時の悲しみはきっと大切な経験だったのだと思います。その経験を忘れず、ご遺族の気持ちに寄り添って大切な時間を一緒に過ごさせていただけるよう心がけています。
 そして、それらを忘れないよう慢心することなく、初志貫徹でこれからも邁進してまいります。

 ソワニエでは社内資格制度を設けてあり、グレードに応じた研修や試験があります。得手不得手は各々ありますが、それぞれに応じたカリキュラムを立てて技術力の向上に努めることが出来ます。
経験のない方でも安心してください。私達と一緒に切磋琢磨しながら、納棺師という仕事を通して共に成長していきましょう。
先輩の横顔2
高原 知美(2022年入社)「ソワニエの納棺師になって」
先輩の横顔3
 私が短大生の頃、祖父を亡くしました。職人気質で頑固だけど優しい祖父でした。病気で痩せ細って、顔色が悪く、口も開いた状態の祖父を、女性の納棺師二人がどんどん綺麗にしていったことを今でも覚えています。テキパキとした動きで、丁寧に優しく仕事をしていました。生前と変わらない姿になった祖父の姿に、深く感動しました。
 それから何年かして、転職を考えていた時、納棺師という職を見つけました。あの時の光景を思い出しました。私もあの女性納棺師のように故人様を生前と変わらない綺麗な姿にして、ご遺族様に寄り添う仕事をしたいと思いました。
 しかし、未経験の私でも、うまくやって行けるか不安もありました。そんな中、ソワニエは社内教育制度が充実していると聞き、ぜひ入社したいと思いました。
 実際に三ヶ月の研修を受けてみて、ソワニエで良かったと感じています。研修では講師の方がテキストを使って読み合わせをします。お辞儀、姿勢、座り方、移動など、細かい作法を講師や先輩が実演して教えてくれます。専用の人形を使ったり、
先輩の横顔3
先輩が故人役になったりして、故人様の拭き方、ケア、脱衣、着付け、旅支度などを学びます。トレーニングの合間に施行で使用する小道具を作ります。わからないことがあっても、先輩方が優しく教えてくれます。研修を通して、納棺師の心得、故人様・ご遺族との接し方を学べました。
 納棺師という職業は、ご遺族が故人様を偲ぶお手伝いが出来る、とてもやりがいのある仕事だと思っています。私が納棺をさせていただいた故人様の中に、ご病気が辛く、眉間に皺を寄せていらっしゃる方がおられました。お顔のマッサージやメイクでお顔の表情が柔らかくなると、ご遺族はほっとしたご様子で「寝てるみたいだね」とおっしゃっていました。毎日お化粧をしていた故人様には、生前に使われていた化粧品を使いメイクをさせていただいたところ、ご遺族は「あの頃と同じままやね」と懐かしそうにおっしゃっていました。故人様をみて「綺麗になったね」「昔から美人やったね」「穏やかな顔だね」など故人様を偲ぶ声を聞くと、お手伝いができたことの実感が涌き、納棺師という仕事にやりがいを感じます。
 しかし、まだまだ未熟ですので、一人前になるための試験に向けて日々練習を頑張っています。ソワニエは社内資格制度があり、各等級に沿った技術、待遇、知識、所作を研修・実務を通して身につけていきます。各等級の試験に合格することで、社内資格を取得でき、より高度な業務を担当できます。資格取得に向けて、会社では施行での注意点、反省点を活かし先輩のアドバイスを聞きながら、トレーニングをしています。また、家でも練習用の施行道具を借りて母に故人役になってもらい、清拭、手足のケア、旅支度等の練習をし、一日でもはやく一人前になれるように頑張っています。
 そして、将来的には、先輩のような尊敬される納棺師になりたいと思っています。先輩方は、私が施行、トレーニングで行き詰っていると優しく声をかけて下さり、的確なアドバイスをしてくれます。仕事も、正確、丁寧で、故人様に対する接し方、ご遺族に対する細かな気配りができていると感じています。私も先輩方たちのような納棺師になれるよう日々頑張って行きたいと思います。
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